――と思うかこの俺が。

いつも通りだよ。皆まで言わなくてもわかりきってんだろ。通常運転で最高にデッレデレだっつーの。

天然レベルはすげぇと思うけど、ここまで可愛いことする奴、この世にいると思う?否、いない。蜜だけ。俺の、蜜だけだ。大事なことなので〝俺の〟を強調して二回言いました。

だって自分の家と間違えて俺の家に来るって、身体が無意識に俺に会いに来てしまってるってことだろ?俺と同じで蜜も常に俺のことを想ってくれてるって、もうこれ、自惚れでもなんでもないだろ。かっわいすぎてマジでたまらんなんなの俺も超好き…。


今しがたまで本当に瀕死寸前にまで追い込まれていた人間なのかと疑ってしまうぐらい、この一瞬で回復メーターをぶち破って超回復した俺は文字通りのデレ具合。

仕事の疲れも吹き飛び、気分は素晴らしいほどに上々。

本人が目の前に居るのに頭の中を蜜でぱんっぱんにして破顔しながらデレ続け、自分の世界へ飛び立つ俺は――完全にしくじっていた。


「…っ飛也のバカッ!変態エッチ!早く出てってよぉ〜…」


狭い風呂場に響いた蜜の精一杯のヤジ。

たとえ今までのあらゆる場面の可愛すぎる蜜たちに囲まれて超絶幸せなトリップを満喫していたとしても、現実で蜜の声が聞こえたとあらばなにがなんでも反応する俺がはっ!と我に返ったときにはすでに手遅れ。

シャーッ、勢いよく流れるシャワーの下、立っていた蜜はこちらに背を向けてうずくまっていた。

その向けられる背中が小さくて、それでいていつもは雪のように白い肌が火照っているのが言葉では形容しがたい艶やかさ。