自分の一番大切な人に祝ってもらえないっていうのはこんなにも辛いんだな、と自分が思っていた以上の辛さにぶっちゃけると泣きかけてた俺。
落ち込みすぎて、蜜と普段通りに話したり顔を合わせたりできんのか?なんて、ズーーーン、どんよりと重苦しい負のオーラを漂わせながら死にそうな顔で下しか見てなかった俺はその不安にめちゃくちゃ悩んで、あーだこうだとそのときのシュミレーションを立てて、気合いと根性と度胸をフルゲージで入れて。
いや、女々しすぎるし面倒くさいしヘタレすぎるだろというツッコミは心の中でしてもらっていいですか?
――そうして、最高の万全で蜜に会おうと思っていた……のに。
目の前にはなぜか。なぜかなぜかなぜか。世界で最も可愛くて愛しい俺の彼女が。
親父でも母さんでも兄貴でもなく――蜜が。
え、ちょっ、マジでなんで!?
唐突な急展開に驚いたまま硬直する俺の頭の中は混乱と戸惑いでもうぐちゃぐちゃ。とりあえず〝なんで〟しか言葉が出てこない。
てか、まさか俺自分の家間違ってないよね!?ちゃんとここ嶺河家だよね!?いや、うん、どっからどう見ても嶺河家!合ってる!え、じゃあ蜜が自分家間違えてるの?え、そんなことってある?あるの?まっさか〜っていうことを起こしちゃったの?蜜ちゃん。嘘でしょ?
なーんて、蜜が俺の家に居て、風呂にまで入ってる理由を思いついてみた俺は、
「(……蜜、そこまで天然だったの…?ガチで…?俺の母さんよりやべぇぞそれは…)」
至極真っ当の驚きプラス母さんよりワンランクどころかテンを飛び越えヒャクランクぐらい上のナチュラル界(天然な人たちが住まう世界)だったら大女神様と敬われるほどに強烈な天然を爆発させた蜜に母さんのときみたく引く――
「(……うーん…。…まあそういうところもマジでほんと最高にクッッッソ可愛いなぁ)」