それでもたかが眠たいって理由だけでバイトを休むわけにはいかないから、身体に鞭打って俺、超バイト頑張った。

テレビや雑誌などで取り扱われたりして結構有名なレストランで働いてる俺は、正直、休日というだけあって平日とは比べ物にならないぐらいの客の出入りに、あの浮かれた気持ちのまま仕事をする余裕はなかった。いや、あんな浮かれポンチで仕事しちゃダメだけど。

特別普段の休日より今日はさらに忙しく感じた。給料が入ったからか。そうなのか大人たちよ。

店が閉店の時間を迎え、仕事を上がって帰る直前、店長を含め店のみんなにまさかのサプライズで誕生日を祝ってもらって(めちゃくちゃ嬉しい)、家に帰ってきたのは23時すぎ。

つっっっ、かれたぁ〜…。


睡眠不足も合わさって、俺の身体はヘトヘトのヘロヘロ。それは家に着いてから途端にドッ、と襲ってきて。

このまま玄関でバタンキューしたい。意識ぶっ飛ばして思いっきり寝たい。けどちゃんと布団で寝たいし、風呂入らないとか無理だからまずは風呂〜…。

靴を脱いだ俺の足はとろとろと風呂場へ向かう。


扉を開けて脱衣所に入ったら――俺はグッと眉間に皺を寄せた。シャーッと、俺が今一番浴びたいシャワーの音。磨りガラス越しに見える人影。

疲れきった俺は荒れていて、チッ、舌を打ったあと、死ねよと心の中で毒を吐く。

マジで誰だよ。疲労困憊の俺の邪魔すんのは。兄貴だったらとりあえず一発殴る。

もはや自分のことしか頭にない。風呂入ってるのが親父だろうが母さんだろうが兄貴だろうが関係ねぇ。早く出ろ!そう文句言ってやる。


「おい!さっさと出ろよ」