パチン、と。まるでシャボン玉が弾けるように奴は簡単に消え、こちらに戻ってきた意識。
戻って、すぐ目にしたのは手に持ったままの時間が経って真っ暗になったスマホのディスプレイに本当にだらしなく、だけど嬉しそうなのが手に取ってわかるぐらい口元をゆるっゆるにして映る自分の顔。
あー、うん。これはキモい言われるわ。
想像以上にだらしなさすぎて苦笑い。
だけどまだ20時にしてすでに今日寝れないのを見据えてしまうぐらいには明日を期待して楽しみにしてしまっている俺にこのニヤニヤを抑える術はなし。
遠足が楽しみすぎて寝れない小学生の気持ちが今すごくわかる。
そうだよな、ワクワクとドキドキが溢れまくって目、バッチバチだよな。絶対次の日後悔すんのはわかってんだけど。俺も明日朝からバイトとかマジでどうでもいい。てか、蜜がそんな嬉しいこと考えてくれてるなら寝なくても余裕で頑張れるし。
はぁー…、好き。やばい、ほんと。早く明日になんねぇかな…。
明日が待ち遠しくて、身体までうずうずしてくる。あと数時間で18だぞとまんまガキな自分にツッコミを入れるけど、楽しみなもんは楽しみなんだからしょうがない。
――その楽しみも期待も、もしかしたらという前提の話だと俺の頭には最早なし。
あ、てか、蜜にまだ返事してねぇや。
なんたる失態。ごめん蜜。
と、謝って画面を開き既読無視したままだった蜜の返事に返事を返す。
文字を打ちながら一人、思いっきりニヤニヤしているのを客観的に見たら(しなきゃいいのに想像してしまった)めちゃくちゃ気持ち悪かったから、ニヤニヤだけでもと口元を手で覆って抑えてみるけど――いや、無理。普通に無理。治んねぇよ。