俺の名前の後ろに〝先輩〟と付けたところから考えて、この女の子は蜜と同期であろう。
学年が違うから当然女の子を見たことがない俺は控えめに。だけど単刀直入に誰かと聞いてみる。
ていうかなんで俺のこと知ってるんだろ…。俺って有名人なわけ?有名になるほどやんちゃなこと最近してないんだけどな…。
単純に思った疑問に、最近なんかしたっけ?カラカラと記憶を遡っていく。
と、今の俺には苦笑もんの過去が出てきた。
ふざけて振り回していた金属バットが自動販売機(学校のやつ)に当たって潰れちゃった事件(正しくは潰〝し〟だけど)。
いやーあれはさすがに焦った焦った。俺の華麗なるスイングを見せてやろうとしたらガンッ!って、バットめり込んじゃってさ。
焦ってる間に生徒指導のハゲが来てそっこう捕まるし。6時間床に正座でお説教。プラス反省文100枚。
あのときはまだまだ若かったのよ俺も。だいぶと落ち着いた今も若いけどさ。
そんな昔を思い出して自然と零れる苦笑。くしゃっと顔の筋肉を緩めれば、「あ、あの…、」…あ。
「ええっとー…、」
「…桜子です…」
「あ、ああ、うん!桜子ちゃんね!」
「(絶対他のこと考えてたなー…。なんか笑ってたし…)」