至極単純。
どんなサプライズをしてくれるんだろうとか、そのときの蜜の可愛さはどれほどまでで、俺は息をしていられるだろうかとか、考えだしたらきりがなく溢れる妄想。
鋭利に奴を睨んでいる目もついににやにやへらへらり、蜜という名の幸せの妄想の影響を受けてしまう。
ああ〜…、やばい…。サプライズかぁ〜…。
ぐふふ、嬉しすぎて変な笑いが落ちる。
それを奴は眉間に皺を寄せて『きんっもっ』ディスってきたけど今俺、超浮かれてるから聞かなかったことにしてやる。
サブのくせにいいこと気づいたと、腹はめちゃくちゃ立ってるが褒めてやらんこともない。まあ口にはしねぇけど。面倒くせぇから。
「なあ、蜜なにしてくれると思う?」
奴への怒りよりも蜜がサプライズしてくれる(俺の中ではもう確定事項)っていう嬉しさが勝りに勝り、だらしない顔のまま奴に聞いてみれば、『知るかっ!』すぐに吐き捨てられたその声は怒気で溢れていた。
あー、そうね。
「直接蜜におめでとうもチュウもしてもらえねぇからって僻むなよ」
『別に僻んでねぇし、なんならお前のことぶっ殺して俺が表に出てや、』
「はいはい、無理無理。そのセリフ二回目」
『最後まで言わせろ!で、その幸せオーラ全開の顔やめろ!花飛ばすな!マジでムカつく!!ぶっ殺してぇ…っ!!』
「ははっ、お前の分まで幸せになるから安心して」
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね』
「じゃっ」
『え?…いや、『じゃっ』じゃねぇしちょっ、待っ、』
「――あ、」
『?』
「もう一生出てこなくていいからな」
『は!?おい、』
さらば、二度と会うことないサブの俺。