なにが〝サプライズしてくれんだよきっと〟だ。わかったような口調がただただイラつく。癇に障ってしょうがねぇ。俺だってそれぐらい…っ!………ああ〜、なんで蜜は忘れてるっていう考えしか出せなかったんだ俺!!
じかに見れて、聞けて、触れれる俺よりサブの俺の方が一枚上手だったということが心底ムカつくし悔しい。
もしかしたらの話だけど、蜜のことをなんでもわかっているはずの俺がその〝もし〟を予想できないって最悪。それこそ汚点だ。
この間起こった数秒の出来事、なにもかもが気に入らなさすぎて例に漏れずその思いはひしひしと目の前の奴に伝わってるだろう。
いや、でもサプライズしてくれるって思うとか、自惚れにもほどがありすぎなんじゃねぇの。そう思って期待して、結局スルーされたままだったらどうすんの?めちゃくちゃ寒ぃじゃねぇの。高層ビル屋上行っちまうぞ?そこから華麗に飛び降りキメちまうぞ?自殺フラグびんびんに立ちまくりなんですがむしろお前は俺を罠に嵌めて殺したいってことですか?そうなんですか?よし、俺の拳と一万回ご挨拶しろ貴様。
と、長々くどくどと批判的に御託を並べながらガンを飛ばし続ける俺に、奴は呆れたように言う。
『…お前、睨んでるけど口元ゆるっゆるだからな』
「黙れ。見てんじゃねぇドサブ野郎」
言われてキリッと口元を引き締める。
けど、それは一秒ももたずしてへらりとだらしなくゆるんで、顔上部と下部の温度差が激しい。
サブの奴にわかったように蜜を語られて怒りも悔しさも言葉では言い表せないぐらいあるけど、結局もしかしたらの話に胸をときめかせ期待を大いに抱いているもう一つの本音を隠しきれずこの表情。