絶対殺すマンみたいな目をしていた奴は一変し、静かに諭すように聞いてくる。
急な変わりように怪訝な表情を浮かべて、だけどさっきのやり取りじゃないけど俺は蜜の考えてることわかるけどお前わかんねぇの的な上からの物言いにイラッとさせられる。うっぜぇな。
その感情を隠すことなくあからさまに顔に出したまま、苛立ちつつも会話は続けてやる。
「そう思ってるから自分でカミングアウトするっつってんだろ」
『マジでほんとにほんとに蜜のことわかってねぇのな』
含みのある言い方。はぁ、わざとらしく盛大にまた吐かれたため息に、言わずもがな俺の顔色はそのセリフで瞬く間に変わって。
とうとう俺もこいつに殺意がわいてきた。蜜に関することとなると相手が誰だろうが関係ない。
偉っそうに。
たとえ目の前の俺が俺自身であろうと、俺以外の奴が蜜のことを語るのは許せない。
「お前も俺だから、俺がわかんねぇことはお前もわかってねぇだろ。知った口叩くな、消えろ」
『おい、まあ聞けよ。――たぶん、サプライズだ』
「…は?」
『祝い事とかあいつ、好きだろ。だから忘れてるふりして、サプライズしてくれんだよきっと』
「は…、…………はっ!」
俺の言葉に思わず声をあげ、それだ!と言わんばかりにピッと俺を指差す俺。
だけどふふん、とその顔地面に埋めるぞと悪態吐きたくなるほどにドヤ顔する奴にすぐに再びはっ!とさせられて、俺はその指を慌てて引っ込め顰めっ面で奴を睨む。