俺、が、目の前にいる…。
ぱちぱち、何度瞬きをして目を擦ってみても、頬をギューッと痛いぐらいつねってみたって〝俺〟は消えない。
それどころか『なにしてんだ』俺をバカにするような目で蔑んできやがる。
おい、やめろ。そんな目で見るな。
『つーかさ、お前なに?なんで普通にダセェ方選ぼうとしてんの?マジで自分で蜜に祝ってほしいって言うつもりなの?正気?神経疑うんだけど。そこはBだろ。言わねぇだろバカか。頭すっからかんかてめぇは。考えろクソヘタレ。『え〜、自分でわざわざ言ってくるとかきもい無理〜もう別れるバイバイ死んじゃえ(ハート)』とか言われて愛想つかれたくないからやめてくんない?』
「……蜜はそんなこと言わねぇ」
『うるせぇ。自分だけが蜜のことわかってるみたいな顔すんな。俺だってわかってんだよ言ってみただけだ。け、どっ!一ミクロでも蜜に嫌われるようなことがあったらお前のこと末代まで呪って呪って呪ってやるからな。死んでも天国いけると思うなよ。しっかり考えてから動けカス!』
「……お前、俺のくせに何様だよ」
『俺様だ!』
「…、」
なに言ってんだこいつ…。
キャラ崩壊し過ぎだろ、俺はそんなキャラじゃねぇと頭が痛くなってくる。
どこからか〝なにが俺様だ!笑わせんなただのヘタレだろ!〟という声が聞こえてきたような気が――しない。黙ってろ外野。目の前のこいつに言ってたとしても、結局俺への悪口なんだよ。
ふつふつとわいてくる怒り。
ダサくてもなんでも、俺がそれでもいいって思ったんだから別にいいだろ。前に出てこれねぇサブのお前にとやかく言われたくない。
どんな形であれ、究極に宇宙一可愛い蜜を拝めることに変わりねぇんだ。それが俺の本望なの!