煌々と光るディスプレイに浮かぶ自分が打った文を見つめながら、ぐむむむむ…。眉間に皺を寄せて、今日の昼飯はA定食かB定食か…やべぇクソ悩むっていう究極の選択並みの勢いでひたすら苦悩する俺。

マジで究極の二択すぎる…。


ダサい姿を見せるのは嫌。だけどおめでとうがほしい。

どうする。どっちを取る、俺。


悶々とひたすら悩み続ける俺の頭の中で今すぐキスしたくてたまんなくなるほどに可愛くにこにこと笑う蜜がAのパネルを掲げる――つまり俺に恥をさらして望みを叶えろと誘惑してくる。

最高に可愛いその笑顔をつけておめでとうを言ってやるからと、愛らしいくりっくりの瞳がきゅるるんっと俺を見つめ、とうや、と甘い声で紡がれた。

卒 倒 不 可 避 。

たとえ妄想の中であろうと蜜は最高で最強で、俺はいとも簡単に落とされる。


ぶっ倒れそうになりながら、さらに鼻血が出そうな鼻をぐっと摘んで息絶え絶えに〝俺ぶっ殺しキューティーハニー〟の蜜を胸に抱き寄せた――ところで「ぐはっ!」横から強烈な蹴りが横腹にめり込んで、完全に胸に収める前に俺の身体はふっ飛ぶ。


『このクソヘタレが』


俺が身体を起こすよりも先にぺっ、と唾を吐き捨てるように乱雑に紡がれたただの悪口。

急な展開に頭がついていがず、とりあえず痛む横腹を押さえながら「…は?」床から身体を起こした俺は蜜には死んでも絶対に出さない低音で思いっきりすごむ。

と、だけどすぐ。目に映った人物にぽかん、口を開けたまま呆けた表情になって。

偉っそうにふんっ、なんて鼻を鳴らして俺を見下すように立つ人物は他の誰でもない〝俺〟だった。