毎日と言っていいほどやり取りしている蜜とのトーク画面は、過去のものへスクロールしていったら先がいつ見えるのかわからない。

他の奴のと比べてみれば雲泥の差。例を出すと、他の奴のは白、緑、白の吹き出し三つだけとか(基本設定のまま)。

ちゃんと返事を返すっていっても用件が終わったと思ったらすぐにぶちる俺はよく「そっこうぶちってんじゃねぇ。ちゃんと返事しろ」とヤジを貰うが、蜜とのやり取りを見せたら絶対そんなこと言わせない自信ある。

まあ見せるわけないけどね。こんなどれ見てもめちゃくちゃ可愛い内容。俺だけのものだから誰の目にも触れさせません。


基本、トークリストの一番上には蜜の名前。

今日も愛しい蜜との可愛いそれがたまっていく。


「……誕生日、か」


ぽつり、蜜への返事を打ちながら何気なく口から出た言葉。


こうやって何通もやり取りしている中で蜜から〝誕生日〟というワードは未だ出てきていない。俺が思っている通りたぶん本当に忘れてるんだろう。

いや、うん。別にいいんだけどさ。誕生日教えたのなんか付き合う前かすぐぐらいだったはずだし。忘れてても仕方ないんだけど――…。


付き合って一ヶ月記念日ーっとか、半年記念日ーって、なにかとそういう記念日に喜んで、祝い事が好きな蜜が俺の誕生日をすぽっと忘れてるっていうのがやっぱりちょっと――いや、自分で思っている以上にかなりショックかも。

祝ってほしいとは思わない。

だけどたった一言、最愛の彼女には〝おめでとう〟を言ってほしいなぁ。……なーんて。