そんなに怒ることないのに…とかなんとか、ぶつぶつ文句を零しながら再びフォークを持ち直し、食べ始めた母さんを見て上げていた腰をもう一度下ろす。

はぁ、空気に混ざったのは本日三度目の重たいため息。


「ため息吐いたら幸せ逃げて、彼女に誕生日祝ってもらえなくなるよ?」


うるせぇ。誰の所為だっつの。


そのあともなにかといろいろ聞かれ、やっぱり食べるときよりも喋るときの方がよく動く口は、早く自分の部屋に戻りたい俺をそれから1時間もそこに縛りつけた。

息子に発動してんじゃねぇ、と思うおばさん必殺のマシンガントーク(本人に言ったらたぶんブチ切れられる)を受けた俺はおばさ…じゃなかった、母さんに洗い物を任せようやくベッドに身体を沈ませたところ。

仰向けに寝転び、帰ってきてからずっと部屋に置きっぱなしだった携帯をひらけば蜜からきていたLINE。


〝夜ご飯なに食べたの?蜜ん家はオムライスだった〜〟


って、文末にハートと一緒に添えられたにこにこと笑っている絵文字は蜜の嬉しいって感情そのもの。オムライス大好きだもんな、蜜。


「(かわい)」


こんな他愛ないLINEでも愛しくって仕方ない。自然と口元がゆるゆるとゆるんで、顔が綻ぶ。


連絡を取り合うということ自体あまり好きじゃない俺は基本用があるなら電話。そっちの方が早いし。向こうから送ってきたならちゃんと返事するけど。でも途中から面倒くさってなる。文字打つのが。

だけど言わずもがな、当然蜜は別。例外。