少し、弱気になってしまった終わりの方。
そんな情けねぇ強がりを心の中で言いながら、俺のもうしないに笑顔を見せた蜜に気づかれないよう、
「はぁ…」
ため息を一つ、空気に混ぜた。
* * * * *
「(あーれ…、蜜は?)」
音楽室を出てから時は経って放課後。
俺より一つ下の蜜とは学年ももちろんクラスも違うから、一緒に帰るためにいつも通り教室まで迎えに来た俺。
だけどそこに蜜のあのちっこい身体は見当たらず、教室の中には何人かの生徒が残っているだけで。
トイレでも行ってんのか?
単純にそう考えて、ドアに背を預けながら蜜が戻って来るのを待っていると。
「…あれ?飛也先輩?」
不意に聞き慣れないソプラノが俺の名前を不思議そうに口にしたのが耳に入った。
ぐしゃっと踵を踏んだ自分の上靴をぼーっと見ていた俺の目は、なにを思うわけもなく声のした方に向く。
その目に映ったのは、ロングパーマの髪をベビーピンクに染めた女の子。背は蜜よりちょっと高いぐらい。俺からしたら全然小さいけど。
「んーと…、誰、かな?」