「……っとー、やの、いじわる…」
「ごめんね」
ちゅう、そんな甘い音を鳴らしてハニーブラウンに唇を落せば、よしよし、慰めるように髪を撫でて自分でもわかるぐらい幸せいっぱいっていう表情をしながら小さな蜜を抱きしめた。
――それからちょっとだけ理性が切れる寸前までイチャイチャチュッチュしたり、さすがにもう無理やばいと思ったときには上手くシフトチェンジして蜜の好きなゲームに手を伸ばしたりと帰る時間まで二人の時を満喫した俺。
夜ご飯食べて帰って?と、晩飯どころかお前も一緒に食っちまうぞと狼の耳と尻尾を生やし、果てしなく可愛く言ってくれた蜜にじゅるりとよだれが垂れたが、だけど今日はごめん、と断った。
理由は朝、母親から届いていたLINE。久しぶりに早く帰れそうだから一緒にご飯食べよう、って。
わざわざLINEで言ってくるぐらい本当に母親と食卓を囲むのは久しぶり。
俺の親は共働きで、二人とも家にいる時間の方が少ない超多忙人間だからたまには、と思い、もんっっっのすごく名残惜しいけど母親に飯を作ってやる方を優先した。
今日だけだから許してね蜜ちゃん…。
蜜に見送られながら蜜の家を後にして、帰りに寄ったスーパーで母親リクエストのボンゴレの材料を買い(俺は和食の気分だった)、母親が帰ってくる時間に合わせて作り始めてちょうど出来上がった頃に帰ってきた母親――母さん。
もう出来上がっていると知ればいい年して子供みたいに喜び、そっこうでスーツを脱ぎ捨てラフな服に着替えてきた母さんは俺の前ににこにことご機嫌で座る。
「美味しそ〜!さっすが主夫っ」
「誰がだよ」