「みーつっ」


世界中の誰も絶対に勝てない愛らしさ、愛しさの塊でしかない俺の宝物の名前を甘く呼ぶ。

ぴくり、反応する細い肩。

顎に指をかけ、くいっと上向かせれば、久しぶりに見えた顔は予想通り。熟したトマトにも負けないぐらい朱い顔。ゆらゆらと揺れる瞳。下瞼に溜まった涙ははらはらと零れ、きゅっと噛み締めた唇はきっと恥ずかしいから。

まんま予想通りすぎて思わず笑ってしまった。

俺の彼女はどうしてこんなに可愛いのでしょうか。


「唇、噛んじゃダメ」

「んっ。……飛也のバカ」

「なんで怒ってんの蜜さん」

「とっ、飛也が笑うからっ!」


ムムムム…ッ、俺が笑ったことが気に入らないらしい蜜はふくれっ面。唇を撫でた指でそのまま本当に熱い頬をふにふにと弄びながら「可愛い」また笑えば、キッと牙を剥く蜜。


「なっ、なんで笑っ……んっ!?」


忍法、黙らせの術。…なんちゃって。


ガウッ、と噛みつく勢いで怒る蜜の血色のいいぷっくりとした唇をかぷりと食べて言葉を遮る俺。可愛すぎて我慢できませんでした。

驚いて開いた目をすぐにギュッと瞑って、それでも「んーっ!!」なにか抗議してくるから舌を入れて今度は確実に黙らせてやる。


付き合って10ヶ月経った今でも相変わらず慣れることを知らない逃げてばかりの舌を絡めとり、わざと水音を鳴らして蜜の羞恥心を煽る。

歯茎をなぞり、また口内を犯して、混じり合う唾液はもうどちらのものかわからない。

俺が満足するまで息つく暇もないほどのキスの猛攻撃を浴びせられた蜜は唇を離した途端、へにょり、俺の胸に倒れこみ、茹で上がりのとろんとろん。