「…なあ、蜜」
「ん?」
「俺は愛してるのに、蜜は大好きなの?」
「っ、えっ!?」
頬を寄せたまま、ふふふっと幸せそうに笑う蜜に意地悪を投げかける俺。
かぁああっ、なんて音が聞こえてきそうなほど一瞬で赤くなる顔。驚いたように目を開いて俺を見やり、それから「…え、えっとー…」どうしようって言葉を顔に貼り付けてあわあわと焦る蜜のその反応がたまらなく好き。
悪戯心が擽られて、にやにやと顔がゆるんでしまう。
「俺は愛してるのにな〜」
さらに煽れば蜜の顔は瞬時に真っ赤なりんご色にランクアップし、とうとうくりっくりの瞳には涙の膜が張る。
それでも嘘だよ、蜜の気持ちわかってるからとか甘いセリフを言ってやめてあげないのは、ただただ蜜の口からそれを聞きたいから。
大好きって言葉でも俺の愛してると同じぐらい俺への気持ちが詰まってるってわかってるけど、恥ずかしがりながら、あの可愛い声で紡がれた〝愛してる〟は今にも天に昇れそうなほどに極上のもの。
すでに幸福感でいっぱいの胸をそれ以上にさらに超えて幸せで満たしてくれるあの感覚が忘れられない。
それに俺の望み通りに蜜が言ってくれることで、たぶん人一倍強いであろう独占欲が刺激され、当たり前で、そうでしかないのに蜜は俺のだと支配欲みたいなものも満たされる。
ああ、完全に質が悪い。
こんな彼氏でごめんね、蜜ちゃん。