ぐりぐり攻撃をしていた蜜の肩をぐっ、と後ろに押して胸から離れさせた俺は、きょとん、と不思議そうに顔を上げて俺の名を紡いだ蜜にはっとする。

……俺、今、なにを…。

我に返った俺の思考は停止。ドクン、ドクン、と大きく脈打つ心臓。

頭が真っ白になっていき、理性を失い、蜜を傷つけようとした自分を疑う。


「(なに、やってんだよ俺…)」


下から見つめてくる穢れを知らない純真無垢なくりっくりのビー玉みたいな瞳に胸を打たれる。

痛くて痛くて、蜜が名前を呼んでくれなかったら取り返しのつかないことをしていたかと思うと、ぞわっと言葉にできないほどの怖さが背中に走った。

今まで守ってきたなによりもかけがえのない一番の宝物をそんなちっぽけでくだらない感情に流され傷つけていたら――そう考えるだけで酷く沸く殺意。それはもちろん自分に、だ。

一瞬でもとち狂って変な気を起こしたことを心の中で何度も何度も謝った。


「飛也?…ふふっ、くすぐったいよ〜」


離れた蜜をまた引き寄せて、ギュウ…ッ、存在を確かめるように強く強く抱きしめる。

すりっ、と柔らかい頬に自分の頬を擦り寄せれば、ころころと鈴が鳴くみたいに笑う蜜。

可愛すぎる…。って、お決まりのように胸がキュンと高鳴り、さっきの今で我慢に我慢を重ねた欲求が再び刺激され、爆発しそうになる。

だけど、今度は間違えない。いくら理性が千切れかけようともこれまで培ってきた忍耐力をさらにグレードアップさせ、そのときまで耐えてみせるっ!絶対!約束!!