今でもまだあるそのわだかまりは、思いの外重い。重くて、重くて。ずっしりとしたそれに今にも俺は潰れてしまいそうとか――はっ、マジで女々しいな。
ただキスを拒否られているってだけなのに。別に避けられてるわけでもないのに。
ただ、それだけのことでどうしようもなく不安になってしまう。
蜜の気持ちを疑ってしまうぐらい、俺は蜜が好きなんだって。なあ、お前ちゃんとわかってる?
ああ、くそ。辛ぇなぁ…。
今までこんなこと、こんな気持ちを経験したことがないからたぶん余計に辛いんだ。
ズキズキ、ズキズキ。
胸が、痛い。
「へへっ」
笑ってんじゃねぇやい。お前の彼氏は今、お前の所為ですんげぇモヤモヤしてんだぞ。すんげぇ女々しいんだぞ。女々しいの!
…なーんて。
なに見栄張っちゃってんの、俺。
無意味に張った見栄のおかげで悲しさ倍増(たとえ心の中でだったとしても、だ)。バカか。まあバカですけどなにか?
俺の気持ちも知らないでほわほわ笑う蜜もやっぱりバカ。めちゃくちゃ可愛いけどバカなもんはバカ。
こんなに俺に好かれてんだぞ。もう好きじゃなくなったとかだったらふざけんな。また、好きになれよ、なぁ。