ベッドに優しく寝かせて上から見下ろし、胸焼けするぐらいの甘ったるいキスをして。
真っ赤に染まる頬、目、鼻にも口づけて、首筋に舌を這わせながら部屋着に着替えていた蜜の服に手をかけ、さあ脱がそうかとグッと上げようとした瞬間。
[おい蜜!!昨日の続きすんぞ。今日は負けねぇかんな――って、へ…]
バンッ!と荒々しく扉が開いたと思ったら、間髪入れず無駄にでけぇ声で言ってそこから姿を現したのは蜜と双子で弟の律(りつ)。
ストレートの蜜とは違い癖っ毛の髪を相変わらずぴょんぴょん跳ねさせて登場した律は、自分の片割れの姉がその彼氏にベッドの上で押し倒されているという状況に目が点。というか酷い間抜け面。
扉を開けたときの勢いは瞬間でサヨウナラ。
チ、チ、チ、とそれから流れた沈黙も三を数える程度で――もう無理。それ以上は黙っていられなかった。
顔を顰めて、チッ!と盛大に恨みを込めて舌を鳴らした俺。
と、律も俺と同じで黙っていられなかったらしく、離れていてもわかるぐらい急速に顔を赤らめ、それと口を開いたのはほぼ同時だった。
[っと、とと、飛也君ごめんっ!!]
彼女なし、好きな奴もいないらしいゲームに愛情を注ぎまくるむしろゲームが恋人みたいになってるかなりのゲームオタクである律も、さすがに俺たちが今からナニしようとしていたか理解できたらしい。
恥ずかしがって顔を赤くしたときの蜜に負けないぐらい顔を真っ赤にして早口でそう言うと、猛スピードで開けた扉を閉めて姿を消していった。