「――蜜」
「…っ、」
「蜜、いい?」
「…っっ、」
「蜜――、」
「…~っや、やっぱやだぁ!!」
「!!」
さらば甘いムード。
グサリといただきました〝やっぱやだ〟。
今日こそはいけるかと期待した俺はかなりのダメージ。
俺の胸に〝やだ〟を突き刺した俺の真下にいる蜜は、そう叫ぶと真っ赤になった顔を手で覆い隠し、うわーんと子供みたいに泣き出した。
HEYハニー、泣きたいのは俺の方だ。
ピンク色に溢れた蜜らしい部屋のベッドの上で蜜に覆い被さっていた俺は嫌でも出るため息をはぁ、と零し、静かに哀愁漂わせながら蜜から退いてベッドに腰かける。
蜜にキスを拒否られて俺のヘタレ具合がフル稼働したあの事件から月日は流れ、新しい年がはじまり季節は春。
あのとき、蜜が俺のキスを拒否した理由はただ俺とスることに恥じらいを持って意識しすぎていたからで。
ちゃんとその理由を蜜から聞いて、聞いたときはもうそりゃやばかったさ。理由そのものも可愛いけど、それ以上に可愛かったのは蜜自身。
日数が経った今でもそのときが頭の中にばっちりくっきり、そんでもってはっきり残っていて、思い出すだけでうん、あれだよね。オトコノコの部分が大変なことになるよね。下ネタごめんなさい。
まあでも思い出して大変なことになる今よりも俄然、そのときの俺の方が相当やばかったに違いないわけで。
我慢が利かなくなるぐらい可愛くって愛しすぎる蜜に煽られた俺は、甘い雰囲気が漂う中で蜜と一つになろうとした。
愛を深めて、俺の念願も叶うはずだった。
だけど。だけどさ?