「っ、え、」
俺に横抱き――いわゆるお姫様抱っこというものをされている蜜は、はぁはぁと肩で息をしながら揺れる潤んだ瞳で俺を見つめる。
酸欠に近い状態であまり思考回路が上手く回っていないのか、揺れる瞳には俺が映るだけで。
少ししたら今の状況をちょっとは理解した蜜は、
「…え!?と、飛也!?」
お姫様抱っこされていることに恥ずかしさを感じたらしい。でも、ダメ。もう離さねぇって決めたから。
「――シてもいいんだろ?」
「え…、な、なに、」
「抱かせて」
「っ、!」
カッと開く蜜の瞳。次いでもとから熱を持っていた頬はさらに赤みを帯びて、トマトのパッケージ写真に抜擢されたいのかと思うぐらい真っ赤っか。
表情にも出ちゃってるけど、心の中じゃもっと焦ってるんだろうな、なんて思ったら熟したトマト色の蜜に笑みが零れて。
マジで、可愛い。
「俺の愛受け取って?」
全力であげるから。だから、ね?俺に蜜のこともっともっと愛させて。俺の世界の中心は、いつだって最愛のハチミツ彼女。
チュッと悪戯に唇を奪ったら、りんごの方が表現が可愛いけど、今は完璧トマトな耳まで真っ赤にした蜜はこくん、と小さく頷いた。