いや、くっ付いていた、は少し語弊がある。くっ付く、なんてそんな軽いものじゃなくて。さっきの俺みたいに食いつく勢い。

だけどここはやっぱりな蜜。俺のにがぶりと噛みついたはいいけど、そこからベロチューが始まることはない。


「(あーもー…、バッカー…)」


不意打ちにとことん弱い俺は生まれてきてから17年、ここ一番に赤面しているだろう。

それこそ蜜のタコ顔負けに赤くなったときの顔に負けないぐらいに。


誰だよ殴るとか言ったやつ。嘘つきはお前の方じゃねぇか。ふっざけんなバカ。こんなん反則、だろ…。


予想もしなかった出来事に、湯気が出そうなほど熱い頬、ドキドキなんか通り越してバクバク騒ぐ胸。突飛に塞がれた唇が嬉しくて愛しくて、でも悔しくて――。

なんだよ、ムカつく。いつもは頼んでも恥ずかしがってしてくれないくせに。こんなときに、今してくるとか言語道断なんですけど。


てか、お仕置きは本気でぶん殴るじゃなかったの?なんっで、キス、かなぁ…。

ああ、もう、愛しくてたまんねぇわ。


「…んっ、ふうっ、」


俺の腕の中で背伸びをする蜜の背中をトントン、と先を促すように軽く叩いてやる。

それがなにを意味するか――ちゃんと悟ったらしい蜜はじわじわと溢れてきていた涙を零しながら俺の中にたどたどしく舌を入れてきた。