ちょっと反則技っぽい俺のセリフに固く瞑っていた目を一瞬にして開けた蜜。
ありえない、とでも言いたげな潤んだ瞳にタコ顔負けの真っ赤な顔で俺を睨む案の定な反応をする蜜に、
「嘘。ごめん」
困ったように笑って、もう一度指で目元を撫でてやった。
むすーっと不服そうな表情の蜜と、眉を八の字に下げた俺が見つめ合うことチ、チ、チ。
先に折れたのは、蜜の方。
ご機嫌斜めなまま、蜜の唇からは言ってほしかった言葉がぽつり。
「…っい、いよ、――んっ!」
聞きたかった三文字を聞けた瞬間、俺はそっこうで約5センチ空いていた短い距離を埋めて酸素ごとその唇に食らいつく。
唇を割って、すぐに絡める舌と舌。蜜は何回やっても慣れないのか逃げてばっかだけど、そこは俺が、ね。リードしてやるっつーか、まあ絶対に逃がさない。
頬に添えていた手をハニーブラウンの髪に通して後頭部に回す。
くちゅり、となる水音。唇の間から漏れる鼻にかかった甘い声が背筋をぞくりと震わせる。
あー…、やべぇ…。
ガタガタと崩れかけていく理性に気づきながらもキスを止めようとはまだ思わない。まだ、もう少しこのまま――。
チュッ、と最後に唇を吸って唇を離したのは、それから暫く経ってから。
蜜がギブアップと言うように背中を叩いてきたことにより終了。
くたり、と、俺の胸に寄りかかる蜜は荒い呼吸を肩で整えている。