腰に回していた腕を解いて、ぼろぼろ落ちる涙で濡れた頬に手を添えたら、涙を拭うように指で目元を撫でてやる。
不安だった。怖かった。蜜に嫌われてたらどうしようって。
だけど今はもうその不安も怖れもわだかまりも消えてなくなった。あるのは愛しさと温もり。蜜を愛してるっていう証。
もう、拒否ったりしないでね?
俺を見上げる蜜の顔に影を被せながらゆっくりと顔を近づけていく。俺のその行動の意味がわかったのか、涙を落としていた瞳を閉じた蜜。
受け入れてくれることを示すそれに笑みが零れて――「…あ」
蜜と唇がくっ付くまであと約5センチ。不意に声を漏らした俺に蜜の閉じていた瞳は開けられ、そこには不思議そうな色。
「チュー、してい?」
「っ、えっ、」
至近距離で不敵な笑みを作ってみせる俺に、蜜のもとから赤かった顔がかぁあああっとさらに赤みを増す。
「(かーっ、わっ!)」
言ってみて正解、と心の中で意地悪くほくそ笑む俺。あからさまに焦って動揺を隠せてない蜜の濡れた瞳がゆらゆら揺れる。
さて、なんて返ってくるか。
「……さ、さささっきは聞かなかったくせに…」
「…、」
いや、明らか聞く雰囲気じゃなかったでしょ。おバカさん。