シーン…とやけに静まり返る家の中。

蜜の反応は、ない。

この異様な静けさと、なんて返事をされるのかという不安と緊張で喉が渇いてくる。覚悟、決めたけど。ここでもやっぱり情けない俺が出てくるんだ。


と。

まだそんなに入る力あったの?って思ってしまうぐらい、ギュウ…ッと今まで以上にきつく抱きついてくる蜜。


少し苦しいな。

いつもはどんなに力を入れられてもそんなこと思わない弱い力なのに、今日は思ってしまう。

たぶん、蜜と抱きしめ合ってきた中で今が一番強く抱きしめられているに違いない。……離したくねぇー…。


あっ、やば、泣くかも…。

じわり、奥から滲んできた液体にそう思った瞬間。


「…っう、わああああん!!」

「!?」


え、え、はっ!?


いきなり小さな子供みたいに声をあげて泣き出した蜜。おまけにバシッと背中を叩かれて。ちょ、痛っ。

それにはさすがの俺もびっくりして、ビクーッ!!と大袈裟なぐらい跳ねた肩。ギョッと目を見開いて、蜜を胸から引き離す。


と。

「(え゙っ)」


俺の胸から上がった蜜の宇宙一可愛い涙で濡れた顔は、喜怒哀楽の〝哀〟かと思いきや〝怒〟。

グッと眉間にシワを寄せて、かち合っているうるうるしたでかい瞳にキッと鋭く睨まれる。

そんな蜜にたじたじな俺。