「ふええ…、飛也のバカあああ…っ!」

「わー!はいはいはい。やめた!やめましたっ!」


一筋涙が流れ出すと、それに続いてぽろぽろと滴たちが蜜の瞳から止まることなく次々と零れ落ちていく。

なによりも俺はそれに弱く勝ち目がないためもうお手上げで。

頬に添えていた手の指でその滴たちを一粒一粒拾っていきながら「もうしねぇから泣き止んで?」困ったように笑ってやる。


「ほんとぉ…?」


あー、もう、ちくしょー…。

可愛いなコラ。


ぐすっと鼻を啜り、うるうると潤んだ瞳は殺人級の可愛さ。それに足して上目遣いとかちょ、マジでやめて。

ありったけの理性を総動員させて可愛さ100倍の蜜の攻撃に立ち向かっていったとしても、それは皆無。瞬殺だろう。

キューティー怪獣(蜜)は強すぎる。

ていうかね。俺をメロメロにすることを無自覚でやってんだよこの怪獣ちゃんは。だから余計に質が悪い。


「(はぁー…)」

「とー、や…?」

「(…バカ)うん。もうしないよ」


サラリ、蜜の髪を撫でてやりながらふわりと柔らかく笑ってやる。

そんな外とは反対に、内では嘘に決まってんだろ!手ぇ出したくて仕方ねぇっつーの!バカバカ鈍感蜜!盛大にヤジを飛ばす俺。