さっきまで涙目でむすーっと拗ねてたくせに。なーんであのタイミングでお口を開くかな…。解せぬ。――蜜は、なにを思ってたの?


はた、と。るーるるるから通常運転に戻る俺。

蜜の心の中なんか読めるわけないし、ていうか読めてたらこんなに悩んでないっつー話で。

蜜が今からなにを言おうとしてるのか、俺にはわからない。


だけど、未だに恥ずかしそうに顔を真っ赤にして、目配せしてきたと思ったら今度はもじもじしている様子から、まだ俺が落ちる言葉を言おうとしてないのは確実。

こんな、今の蜜に言われたら俺もう瞬殺だからね。この場で死んじゃうからね。


たぶん蜜が言いたいことは、今自分の羞恥を襲っているもののことだと思う。

と、考えつくものは――えー、また俺のアレのことー?しょうがない、って言ったじゃん…。そのときに納得してくれたんじゃなかったの蜜ちゃん…。

それもまた悲しいが。


「…蜜」


いつまでももじもじしてあれから口を開こうとしない蜜の髪をふわりと撫でながら、俺の話をしようと決める俺。

俺のアレの話はあとでちゃんと聞くから。今はごめん、治まるまで我慢して。

やっぱり、決めた覚悟を空振りにしたままじゃ先に進めないから。