そもそも俺が蜜ん家に来た目的は蜜の気持ちを聞くため。
久々に蜜を抱きしめられて甘い雰囲気が漂ってるからって、そうじゃないんだ。
だから、もう言おう。女々しいままでびびってないで、しっかり度胸を持って、現実をちゃんと受け入れようじゃないか。――いざ!
「み、」
「……とーや、は、ね」
「え…?」
「あ、あの、ね」
み、み、蜜ちゃん?ちょ、ちょっと、え?タイミングよすぎじゃね?俺が〝あのね〟って言いたかったんですけど~…。てかなんかデシャヴ…。俺の度胸~…。
撃沈、である。
もうなんか俺たち話し出すタイミングこんだけ合うとか気ぃ合いすぎてやばいんじゃないのどんだけ~!とか、古いネタを引っ張り出してテンションハイに言っちゃうぐらいには落ちててやばい。はいどんだけ~!
蜜ちゃん、マジで、頼みます。どうしようこの思いっきり肩透かしくらった感じ。辛い。
やっと覚悟決めたのに。〝いざ!〟とかちょっと冒険へ旅に出る勇者みたいにかっこよく決めた俺の心はポッキリ折れました。蜜~…。
「っあ、あの…、」
るーるるると悲しみに涙が出そうな俺はてんで眼中外な遮り大魔王(本当に肝心なとこで…)の蜜はちらちらと目配せながら真っ赤な顔で口を開く。
「(み~つ~… )」
かという俺も普通だったら絶対メロメロキュンキュン~になっているであろう今の蜜は眼中外。
心をポッキリと折られたダメージは大きい。