嫌われたらまた好きにさせるまでだ、なんてことをここに来る前まで思ってたけど。

やっぱ、そんなん無理だ。

蜜に本気で嫌いって言われたら、もう俺は立ち直れないぐらいどん底に沈んでる。

それに、蜜と今までできていたことが簡単にできなくなるっていうのもありえない。

そうやって思うありえないこと全部含めて一番最大級にありえないこと、は。

――蜜とのこれからがなくなること。


それを想像するだけでゾワ…ッと背中に嫌なものが走った。嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ。

腰と背中を抱く腕に力を込めて、蜜を潰してしまうんじゃないかというぐらいの力でさっきよりもずっと強く抱きしめる。

案の定、それに蜜は苦しい、と非難をあげた。


「蜜ちゃん我慢ですよー」

「やだー!苦しいーっ」

「やだ?ダーリンの愛あるハグなのに…」

「ダーリン、ダーリンはハニーを殺そうとしているのだよ」


ど、い、てっ!

俺の腕の中だからか籠った声でそう付け足して、ドンドンッ、全然痛くない力で胸を叩かれる。

たぶん蜜は本気の力なんだろうけど、うん。びっくりするぐらい痛くない。蜜ちゃん弱ーい。


ていうかダーリンって、ノリで言ったつもりだったんだけど、返してくれたのがなんか超嬉しい。

自分のことハニーって言う蜜も可愛すぎて禿げそうだよ俺…。