ペチペチ、俺の手から解放された蜜の手が遠慮がちに俺の二の腕を叩いて俺を呼ぶ。え、蜜ちゃん二の腕って…。

なんか夢がないなー…とか女々しいことを考えながら(うんそうね、俺は女々しいよ)、顔が見えるようにきつく抱きしめていた蜜を少し離した。

見下ろす先には少しは息が整ったのか呼吸は通常運転の、だけど相も変わらず涙目に真っ赤っかな顔の蜜――おい。なんで目ぇ逸らすんだ。


「コラ蜜」


目が合ったのにあからさまにふいっと逸らされてカチン、ときた俺。ちょっと蜜ちゃん。今の俺はデリケートでナイーブなんだから!普通に傷つきましたよ。


細い腰に回した腕をほどきたくないから声に少し凄みをきかす。

それにビクッと肩を上げる蜜がマジで本当に可愛くてたまらん。

それからさらに真っ赤な顔を、もう湯気が立つんじゃないの?って思ってしまうぐらい耳まで真っ赤っかにしてから小声でごにょごにょと、


「っだ、だって…、な、なんか、その、あ、当たって、る、もん…」


ううううー…なんて、言い終わったあと可愛く唸りながらバッと顔を手で覆った蜜にハテナマークがぽわん。

当たってる、って、なにが?


はて?と、なぜか恥ずかしがる蜜を見下ろしながら小首を傾げて考えてみることいち、に、さん。


「(あー…うん、そういうこと、ね)」