蜜の絡めるどころか逃げてばかりの舌を追いかけながら、隙間から零れる甘い声にガタガタと音を立てて崩れていく理性。
「(あー…、やばっ)」
好きな女と、ましてやそれは世界一。そんな女とするキスに長く保てる堅物が持つような鉄の理性を俺は持ち合わせてはいない。
ていうか、そんなん持ってるやつ俺は男だなんて認めない。
だって好きな女とチュウしてんだぞ?しかも超濃厚なやつ。それで興奮しねぇとか意味わかんねぇ。
お前マジでついてんの?って、言いたくなる。
と、なにが言いたいかと言えば、率直に言うと俺は今蜜とのキスに興奮してるわけ。
これ以上のことをしたいって、もっと蜜を知って感じたいって、今、じゃなくてもいつも思ってる。
けど、まだ蜜の気持ちはそこまでじゃなくて。というか、蜜はキスだけでいっぱいいっぱいっていう感じで。
そこがまた可愛いんだけど、早く蜜とシたいって気持ちが強い俺がこのままキスし続けるときっとたぶん。いや、絶対にもう止まれなくなる。
それに俺に対する蜜の好きが行方不明な今――さっき答えが少しわかってしまった気がするけど――蜜が本気で嫌がったって無理だろう。
それこそなおさら、だ。
俺の蜜への想いは蜜の家族にも負けねぇぐらい重いのだから。