一旦唇を離して、雨みたいにぽろぽろやまずに落ちる涙を掬うようにペロリ、目元を舌先で舐める。
普段から人一倍泣き虫な蜜に言ったって無理なんだろうけどさ、今は、頼むから泣かないでほしい。
その零れる涙一粒一粒が、俺の存在を全て拒否しているような、そんな狂った気さえしてくるから。
今までよりもずっとずっと。
きっとたぶん一番に。
胸が、痛い。
「ん…はっ、とー、やぁ…」
「…泣いてねぇでいつもみたいに舌、ちゃんと絡めて」
「ん、んんっ!…っふう…っ、」
当たり前だけど一回涙を掬ったぐらいじゃ蜜の涙はやまなくて。俺の言葉でやむわけもなし。
泣き続ける蜜にそう言って、再び赤い唇を貪る俺。
表面ではこうやって余裕あるように見せてるけど、そんなのふり。
裏ではどうしようもないくらいに焦って、動揺して、さっきも言った通り平常心なんてものは皆無。
不覚にも名前を呼ばれたときは初恋もまだな中学生みたいに胸がやけに高鳴った。…中学生って。本当、マジでダサいな俺。
蜜の所為で着々と俺の男としての大事なプライドが欠けていってるのは確実。どうしてくれんの、バッカ蜜。
「ふっ、あ、やぁ…っ、」
…なーんて、今の蜜に聞いても意味ないか。
それにしても、そろそろ俺の理性もいい加減やばくなってきた。