歌い終わって、飛也おめでと〜っ!と言ってくれたあと、ふぅーっとろうそくの火を息で消した俺に「はいっ!」ずいっ、と蜜が差し出したのは黒の包装紙に青いリボンが巻かれた四角い箱。

え、と蜜を見やる俺。


「え、なに…、」

「プレゼントっ。これはちゃんとしたやつですよ」


なんて、にへっと笑って言う蜜に戸惑う。いやいや、俺、もう十分すぎるぐらいプレゼントもらいましたよ蜜さん。まだくれるの…?

蜜自身に、ケーキに。おめでとうの言葉。

もういっぱいもらってるのに、と言えば、蜜はかぁっと赤くなって、「け、ケーキはあれだけど、蜜はちゃんとしたやつじゃないから…っ」と。…うーん。そういうものなの?

蜜の〝ちゃんとしたやつ〟の括りに蜜が入らないのはなんでって思いながら(俺には最高に一番嬉しいプレゼントだったから)、「いいから飛也、早く開けて開けてっ」そう言われたから受け取って、包装紙を綺麗に解いていく。

包装紙から解かれて出てきた箱を開けたら――嘘…。マジで…。中に入っていたのは、俺が前々から欲しいと思っていた時計だった。


まさかすぎてびっくりして、時計をもらったのに数秒、時が止まった。

俺の反応に、にんまり、蜜はご満悦な顔。


「ふふっ、喜んでくれてよかったぁ」

「うん、めちゃくちゃ嬉しすぎて時止まった…。やば…っ。顔にやける…。蜜ありがとう」


箱から出して、早速腕につけてみる。雑誌で見て、サイトでも見てたんだけど、やっぱ実物は違う。超かっこいい…。

あー…、やばい。誕生日やばい。こんな贅沢なことばっか、こんなクソな俺にいいの、神様。なんかバチ当たりそう…。いや、バチ当たってもキャパオーバーしそうなぐらい幸せだからいい。むしろちょっとぐらい悪いこと起こんねぇと、一生浮かれポンチだよ、俺。