はいはい待ってましたと言わんばかりにお決まりのズッキュンと、グサグサグサッ!ハートの矢を何千本いただいたところで、「あ、」俺は思い出す。


「蜜、アレ。冷蔵庫に入ってたやつ。もしかして俺に?」

「…あ、ケーキ!うん、飛也にです!」

「やった。手作り?」

「…うぐっ、お、美味しくないかもしれないけど、一応…」

「絶対美味いに決まってんじゃん」


俺から目を逸らして、自信なさげにぼそぼそと言う蜜に食べてもないのにそう断言する。

料理全般苦手みたいだけど、俺を想って頑張って作ってくれたものが美味しくないわけないじゃん。蜜が作ってくれたものなら尚更。もし本当に不味くても、俺には美味く感じるし、きっと手を止めることなくペロリとたいらげてしまうと思う。

嬉しい。早く食いたい。


「早くケーキ食べたいから、ご飯作ろ」

「う、うん。……期待しちゃダメだよ」

「やだ。してる。超してる。だって嬉しいもん」

「…っううう〜。とーやのバカちん…」

「なんでだよ」


素直に言っただけなのに。

かぁっと頬を赤らめた蜜はまた俺の胸に顔を埋めて、羞恥に悶絶してるのか変な呻き声を出しながらそれをぐりぐり、擦り付けてくる。そしてヤジを飛ばす。いちいちやることが可愛い。

次から次へと、まだ起きて数十分しか経過してないのにすでに可愛いと嬉しいの嵐で表情筋ゆっるゆるのゆるっゆるだから、今日一日、一生このデレ顔続くな、確定。


俺と同じ匂いのするハニーブラウンにキスの雨を降らしていたら、んー、なんだかすごくムラムラしてきたんですけどー…。

今はいいかな、とかほざいていた理性は何処へ。やっぱ猿。俺は猿。いや、こんな宇宙一最高に可愛い生き物を目の前にして我慢できる男とかいないでしょ。

俺以外の奴が蜜をそんな目で見ようもんなら当然、三途の川渡っていただくけど。全世界の男どもの思いはきっと共通。