後ろを振り向いて、下を見た俺の瞳にはぎゅーっとしっかり抱きつき、もうすでに涙をポロポロと落としながら左手の薬指にはまる指輪を見せてくる蜜。
慌てて降りてきたのか、床に捨てたままだった俺が昨日着ていたシャツだけを着た蜜に「(……ん゙っ!!)」胸がやられる。
小さい蜜には首元が広すぎて肩が出そうなぐらいブッカブカのシャツの破壊力は計測不可能なほどやばいやばすぎる。めちゃくちゃ萌える尊いしゅき…。
今の蜜が目の前に立ってくれているだけで、余裕で白飯大盛り五杯はいける。いやもう飯より蜜ちゃんが食べたいです辛い(主に下半身が)。
有り余る性欲は猿並みだけど、さすがに数時間前にシて寝て起きてすぐに二回目は初めてで相当無理させてしまったのに愛する彼女の身体も労われないクズの極みだとわかってるから、我慢する。
今まで鍛錬を重ねに重ね、磨いてきた鋼の心だ、俺。
派手にぶち切れそうな理性を無理矢理抑える俺の顔は少々苦しさ混じりに引き攣り気味だが、精一杯、気づかれないようになんとか平然を装う。
「気に入った?」
開けていた冷蔵庫を閉め、蜜と向き合うように体の向きを変えてそう言えば、蜜はこくこくと頷いた。
「っありがとー…」
「ん〜、できれば笑って言ってほしいな〜」
ふわふわ、寝癖がついてぴょんっと不格好に髪が跳ねた蜜の頭を撫でながら要望すると、蜜は自分の頬を濡らす雫をゴシゴシと目を擦って拭いだして、「ダメ」すぐにそれを止める俺。
…いっつも目傷つくからダメっつってんのに。
雑な蜜に変わって、俺が目元を柔く撫でて拭う。
「んっ、へへっ。飛也ありがとう。大好きっ!」
そう無邪気に咲いたとびっきりの笑顔は、〝おめでとう〟を言ってくれたときのものと変わらない最高の笑顔。