「(…んだよ。ふざけんな)」


桜子ちゃんには〝なにか〟を言っていて。俺にはなにも言わない蜜になんだか無性に腹立った。

モヤモヤ、わだかまりはさらにでかくなる。嘘でも笑ってなんかいられなくなった。


わかってる。こんなのはただの嫉妬だ。女相手に、しかも蜜の友達に。愛想尽かされてるかもしれない俺の勝手な醜い感情。どこまでダサいんだっつーの。


ズキズキ、ズキズキ。

胸が痛い。すんげぇ痛い。痛くてしょうがねぇよ。


ギュッとそこを押さえるようにワイシャツを握る。桜子ちゃんに蜜がなにを言っていたのか聞こうとしたけど――やめた。

もし俺と別れたいって言ってましたなんて言われたら?

別れたいまではいかなくても距離を置きたいとか言ってたらどうする?


…無理だ。そんなん耐えらんねぇよ。

希望にすがり付いてるとか言ったって、蜜に愛想尽かされてると殆どそう思い込んでしまっている俺はマイナスなことしか考えられない。

蜜はまだ俺のこと好きだって言い切る自信は限りなくゼロに近い。


ああ、もう、なんか、

「(……泣きそう)」