「…、」
言葉では言い表せないほどの幸せと愛しさが満ち満ちて膨大に溢れた夜が明けた朝。ピチチ、と鳥は囀(さえず)り、外は青空広がるカラッとした快晴。うん、申し分ないほどいい天気。
もう9時を過ぎてしまっているけど、珍しく自然と目が覚めて、眠気も飛び先に起きた俺はまだ気持ちよさそうに夢の中にいる蜜のために朝飯を作ってやろうと一人、一階のリビングに降りてきていた。
そこで、いつも食事をするテーブルの上に置かれた紙と小袋を見つけて。
【ハッピーバースデー飛也★18歳おめでとう!彼女の蜜ちゃん超可愛いね!飛也がのろけちゃうのもわかる。早く娘にしてね!ということで、翔織君とデートしてくるので明日の夜まで帰りません。飛優にも帰るなと言ってるので、安心して存分に楽しんでね!あと、少しだけどあたしと翔織君、飛優からプレゼントです。】
と、それは母さんの丸々とした字で書かれた手紙と、空をこえてラララ星のかなたまで行く心優しい超有名な某ロボット少年のアニメのポチ袋に諭吉さんが三人も入った誕生日プレゼントだった。
諭吉三人はアツい。激アツ。ありがとうございます。
ちなみに飛優(ひゅう)は兄貴のことで、なんで某ロボット少年のアニメのポチ袋なのかというと、母さんがこのアニメを好きだから。
あと、自分の名前がロボット少年の妹と同じ名前だから、って理由。母さんはひらがなで〝うらん〟だけど。
――てか、それよりも、だ。
手紙の内容で、なんで蜜が家にいたのか、その経緯がなんとなく想像ついた。それに、母さんと親父が帰ってない理由も。兄貴はいないことの方が多いからなにも思うことはない。