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「(…かわい)」


今までで一番嬉しい最高の誕生日プレゼントを貰った俺は、腕枕をする俺の腕の中でスースーと気持ちよさそうに寝息を立てて、あどけない表情で眠る蜜の柔らかい頬をふにっ、と優しく弄ぶように摘む。


やっぱり、無理だった。

蜜のお願いに善処の〝ぜ〟の字も頑張れず、邪魔だったタオルを剥ぎ取って隠されていた肌が露わになると、大爆発した欲望のままに触れ、ひたすら夢中になり、痛い、と蜜が泣いて零したのにやめてあげることができなかった。

俺は気を抜けばすぐにでもイッてしまいそうな快楽の中なのに、蜜は大粒の涙を流して、俺にはどれほどなのか想像もできない痛みの中にいるんだと思ったら、俺だけ……ごめん。と、申し訳なくなったけど、最後まで、全部蜜と繋がって一つになれたときは思わず泣いてしまいそうになるぐらい幸せだった。

ほんとに、初めてなのに優しくできなくて、辛い思いさせてごめん。俺のために頑張ってくれてありがとう。大好き。


頬をふにふにと弄ぶのをやめて、チュッ、と唇に静かに一つ、キスを落とす。

離れ難いけど、蜜を包んでいた腕をそっと退け、ハンガーに掛けずに床に放ってしまっていた今日着ていた上着を身体を少し起こして探す。

それは思っていたよりベッドの下のすぐ側に落ちてあって、拾った俺はポケットの中に入っているものを取り出した。上着は面倒くさいからぽいっ。

用が済めばそーっとしつつ、ささっと元の体勢に戻り、ギュッ!蜜を抱きしめる。


取り出したのは、小さいピンク色の正方形の箱。それに結ばれた白いリボンをシュルリと解いて、開けた蓋の中に入っていたもの――指輪を手に持った。

蜜の好きな色を使った、ピンクゴールドの指輪。