狼狽する俺は蜜のセリフの意味を掴むことができない。

――できない、けど、俺はバカで。バカだから、絶対にないだろって思いながらも、頭の片隅でセリフの意味を自分の都合のいいように解釈してしまって。


未だにハートの矢が数百本ぶっ刺さったままの胸がドクン…ッ、ドクン…ッ、耳にまで響くぐらい大きく打つ。

開く唇から出す声は緊張を孕み、すらりと出てこずどもって、見事にかっこ悪い。


「…み、蜜。そ、それはどういう…」

「……ほ、他にね、ちゃんとしたプレゼントあるし、プレゼントっていっても、プレゼントじゃなくて、えっと、その…、なんだそれって思うかもしれないけど、……っみ、蜜、が…、」

「……プレゼント…?」


だんだんと逸れていく瞳。元々紅潮していた顔はかぁっと音を出すようにさらに彩度を上げ、尻窄みになっていくセリフと一緒に蜜が今、どれほどの羞恥と戦っているのか手に取ってわかる。

伏し目がちになって、ふさふさの長い睫毛を震わせながら絞り出すように蜜が、と言った蜜はそこで唇を閉じ、ギュウ…ッ、恥ずかしさでか伏せる目に力を入れて目を瞑った。


俺はまさか…と、少し期待を抱く。

人一倍、誰よりも恥ずかしがり屋な蜜がこれほどまでにわかりやすくセリフにも態度にも出してくれてるんだから――俺、自惚れてもいいよね?

自分の都合のいいように解釈したセリフの意味をそのまま、蜜が区切ったセリフに付け足すように俺の唇は紡いでいた。


「っ、!」


紡いで、すぐ。ギュッと瞑っていた目を開けて俺を瞳に映した蜜は、しゅぼぼぼっ。そろそろ火が灯るんじゃないかと心配になるぐらい真っ赤っかレベルをまた上げる。一気に五段階ほど。

もう熟したトマトよりも真っ赤っかな蜜。