ふええ…っ、小さい子供が泣くような幼気な声で素直に謝る蜜に俺の表情筋は刹那にふにゃりと崩れる。てか、崩壊。

心の中でひたすら延々と思って溢れまくってる気持ちが最大限に現れた(現れすぎた)締まり方をド忘れした顔になってしまう。

決して泣かせたいわけじゃないけど、場面場面にある蜜の可愛いを見たいから(今だったら泣き顔と幼くなる喋り方)、仕返しの名目で意地悪するのも、そうじゃなくてもしてしまうのも、癖って言えば聞こえが悪いけどやめられない。

好きな子には意地悪してしまうってやつです…。


ハートの矢が数百本刺さった胸が重い。


すんすん、すすり泣く蜜の目尻から跡を残して、湯気が立ちそうなほどに紅潮した頬の上を伝う涙をぺろり、舌で掬ってから「ふむ。可愛すぎるから許してあげようぞ」瞳をかち合わせて、設定したキャラはいまいち謎。


「ぐすっ。…なにキャラ…?」

「ん〜?わかんね〜」

「…と、とーや、ね。その、可愛くてつい…、」

「あれ?そうか、それっぐらいシたいんだな。えー、もう蜜ちゃんマジで超可愛い〜。嬉しくて俺全力ではりきっちゃうな〜。頑張っちゃうな〜」

「えっ、あっ、やだっ、違っ、…〜〜違く、ない」

「…え?」

「……とー、や。……プレゼント、です」

「(………え?)」


ぱちり、瞬いて、見る。

10センチほどしか離れていない真下にいる蜜の瞳がせっかく乾いたのにまた涙の膜を張って、ゆらゆら揺れる。

いつもの会話の流れになるはずのそれが、小さく呟かれたまさかのコース変更に心を揺すられ、次のセリフは思考を一時停止させた。

プ、プレゼント、とは…?