蜜の口調を真似して冗談めかしに言った俺のセリフに案の定、カカカッ、と音を立ててピンク色だった頬を真っ赤にして怒る蜜の言葉をかぷりと唇で遮り、俺にとっては本当のことだけど、蜜にとっては意地悪になる(恥ずかしいから)ことを言ったら、

「――…わかった」

と、羞恥と照れと少し(?)のプリプリで言葉をなくしていた蜜が、それから立ち直って紡いだその一言のどことなくの重量感。

量ったらグラムが表示されそうなんですが…。

……気のせい?

――って、思ったのはほんの一瞬。0.01秒。


疑問とため息しか出ない最上級の可愛いがそれ以上考えさせてはくれなかった。だから、思いもしなかった。

照れながらわなわなとしていた蜜を呑気に「(かっわい〜)」ふふふ、と微笑ましくただ癒し、感謝。と見ていた俺にまさか天誅が下されるなんて。


天使は容赦なく、血色のいい唇から零す鈴を転がすような声で、俺の胸をぶっ刺す。


「もうプレゼントあげない」

「えっ!やだ、嘘嘘嘘。ごめんごめんなさい。調子に乗ったマジでごめんほんとごめんうざくてごめんもうし…っ、……っないとは蜜が可愛すぎるから言い切れないけど反省はめちゃくちゃする。全力で土下座でもなんでもするからそれだけは勘弁!蜜ちゃんお願いっ!」

「拒否」

「拒否を拒否っ!お願い!!」

「拒否を拒否を拒否!お願いも拒否っ!」

「み、」

「拒否っ!」

「む、」

「拒否っ!」

「ちょ、」

「拒否っ!」

「おね、」

「きょひ…っ!きょ…っ、ふっ、」

「……蜜さん?」


今、笑った。ねぇ、確実に笑ったよね。笑い堪えきれずに「きょひ…っ!」って、声うわずってたよね。見ての通り俺マジで超必死だったんだけど?全力のそっこう拒否に普通に半泣きだったからね?いったいなんの笑いかな蜜ちゃん。