ほんの数分間、離れていた身体と身体はまたぴったりとくっつき、チュッ、と短いリップ音を鳴らして赤い唇を奪った俺に、いつものように照れくさそうに頬をピンク色に染める蜜。

目と目を合わせて、見つめて。

だけどすぐ、蜜は眉尻を下げると、俺を映す瞳を揺らし、その表情は俺を心配する顔。


「ん?」

「…飛也、大丈夫なの?」

「なにが?」

「さっきすごい顔色悪かったから、しんどかったりしない…?」

「ん〜…、」

「…、」

「…、(はぁ〜、可愛いの溢れみがすごい…)」

「…、」

「……大丈夫じゃないかも」


犯罪級に可愛すぎる蜜に常時やられ続けて、根まで狂いに狂ってもともとよくない頭がよりさらにバカになってしまうぐらいには大丈夫じゃないから、答えたそれはあながち嘘ではない。

嘘ではない、けど、蜜が心配してくれている論点からはずれてしまっていて、それをわかった上で口にした〝大丈夫じゃない〟は、つい出来心(ハート)。

だってもう可愛すぎて可愛すぎて可愛いから、ちょっと意地悪したくなるじゃん。うずうずしてくるじゃん。


余計な心配はかけさせたくないけど、でも心配してくれることが嬉しくて、蜜のその優しさに甘える俺。

大丈夫じゃないかも、と全然大丈夫そうなケロッとした顔に笑みを乗せて、語尾にハートマークまでつけて言った俺に蜜はむっ、としてプリプリ怒る。


「飛也さん、誤魔化すのよくないですよ。蜜ちゃんにはすぐわかりますからね。ほんとにしんどいですよね?」

「はーい。蜜センセーがいちいち可愛すぎるから、心臓バクバクのドキドキの爆発寸前で超超超!苦しいでーす。助けてくださーい」

「…っ、なっ、ううう。もうっ!飛也のバカ!蜜は心配してるのっ。ちゃんと言って、」

「怒った顔も可愛いから、さらに苦しくなった」

「…〜っ、」