と、一秒でも早くとマジで急く俺に少し慌てたように可愛い声でかけられたのは突然の待て。ストップ。

そのあとがしっとシャツも掴まれて、今すぐの逃避を遮られる。


ああああ、蜜なに〜…。

となっても、蜜が待てと言ってるんだからそれを無視できるはずがない俺はタイムラグなど生じさせず、上半身を捻った体勢で止められたそれをすぐに戻す。

とりあえずはまあ、上体を起こしたから蜜が下に目をやらない限りはたぶんバレない。その間におさまれ頑張れ俺の息子。

フレッフレッ、頭を下げろっ!フレッフレッ!


なんて、頭の中でチアリーダーの衣装をフル装備し、短いスカートをはためかせながらポンポンをわさわさと振る――俺がすぐさま完璧なもので形成されて、どばぁあああっとマーライオンも驚きの勢いで汚物を吐き出してしまいそうになる俺。

なんでだよ!なんで俺なんだよそこは宇宙一超絶クッッッソ可愛すぎるマイエンジェル蜜だろ!!あったまおかしいんじゃねぇのどうなってんだよクソ妄想!!


フレッフレッ!とムカつくぐらい元気な自分の可愛くない低い声が脳内全域に響いて、うぷっ、慌てて手で口を覆う。……信っじらんねぇ。

煩悩から気を逸らす、ということでならパーフェクト。大成功だよ息子さんは萎えっ萎えだおめでとう。

だが、それに伴い俺の精神はズッタズタのボッロボロだ。余裕で一ヶ月は病む。発狂しそう。現実じゃないだけマシ、じゃねぇんだよバッキャロォオオオ!!俺が!自分で!妄想したんだよ!これを!!この!!史上最悪な絵面を!!死にてぇ!!