ドクドクと、そんなに早く動いて大丈夫?俺死なない?って思うスピードで脈打つ心臓。昂ぶる身体は恍惚とした表情を浮かべさせ、蜜を見る瞳はとてもよろしくない危険な色に色づき、思考はクソなものへと切り替わる。

壊したい、食べてしまいたい、ピーーー(放送禁止)したい!!!


――という、ただくしゃみしただけで彼氏にそんな最低の二文字がとても似合うことを思われる蜜ちゃんがめちゃくちゃ不憫。

もう俺のプロフィールに〝備考:クソド変態〟って書いてくれていいですごめんなさい!!


けど、俺は今回、そんな自分をグッ、と。グッグッグッ、と押し殺すことに成功した。

あの誓いを破った愚行を糧にし、天使が舞い降りしくしゃみをする前にゼロ距離にいた俺を離して、顔を逸らした蜜の濡れたままの髪をふわり、撫でてやる。当たり障りのない柔らかい笑みを零しながら。

ふっ、ふふふ。蜜のためならこれくらい朝飯ま……あっ!ダメッ!ダメダメ俺の息子!!ここここれ以上頭を起こしては蜜ちゃんに…っ!蜜ちゃんに――…っ!!


緊急事態発生!緊急事態発生!

頭の中でけたたましいサイレンが鳴り響く。回避だ!回避するんだ飛也!!誰かから発せられる指示に「…おっ、おうっ!」いい返事を返す俺(心の中で)。


蜜がくしゃみをしたことでのこうと思ってまだのけていなかった身体をその返事から間髪入れずに起き上がらせる。

4月の後半といっても夜はまだ肌寒い。タオル一枚の裸同然の蜜が寒いのも当然――裸…。蜜の、裸……はっ!く…っ、クソ野郎ーーー!!俺!!

い、今は雪のように白い肌が触ったら最高にもちもちすべすべ、一生頬擦りしてたいぐらいとか、少し小さいけどそれがまた可愛いおっ……胸とか、ほっそい腰とかその他諸々思い出してる場合じゃなくて、蜜が風邪引かねぇように早く…っ、


「…っあ、待って…!」