俺の瞳いっぱいに、ほんのり照れくさそうにしながらも、とびっきり最上級の花が咲いた。


生まれてきてくれて、蜜と出会ってくれてありがとう。世界で一番大好きっ。

そう続けて付け足された直後、ダメだった。え、と悠長に驚いている間も、しつこく時を止めている間もなく、胸の奥からせり上がってきた感情が一気に涙腺を崩壊させる。

はらはら、静かに溢れて落ちていく涙。


蜜の笑顔がじわりと滲んでしまってもったいない。目に映して十分なほど焼きつけたいのに、滲んで滲んで、邪魔をする涙を止めようにも止められなくて。

蜜の、バカ…ッ。忘れてたんじゃねぇのかよ…。


ただどうしようもなく嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて、蜜が愛しい。

バカ、なんてヤジを飛ばしたって、その想いで溢れかえってる心は容量が足りず、溢れ出たそれを含んだ雫はぽたぽたと雨のように蜜に降りかかる。


「…え。…とっ、ととと飛也!?なんで!?」


……俺の、大バカ野郎。せっかくの蜜の最上級の笑顔、全っ然見れなかったじゃねぇかクソッ。


俺がいきなり泣き出したからか、上げられた声はあわあわと困惑混じりに相当な焦りっぷり。

視界が滲んだ中でもギョッと元々大きな瞳がさらに大きく見開かれたのも、なんでどうしてと顔に言葉が浮かんでいるのもわかる。


この異常事態にたぶん蜜もどうしていいのかわからないんだと思う。

だけど困りながらも、おずおずと細い指が目元を撫でて、蜜は蜜が泣いてたら俺がするみたいに涙を拭ってくれた。

ダッセェなぁ…。って、いつでもどうしたって格好つけてたい彼女にそんなことをさせてしまって(とっくの前から人並み以上にヘタレだから格好もクソもないんだけど)、他の意味でも涙が出そう。