行く時はアンナとダニエルのやり取りで賑やかだったが、帰りは静かだった。
エリーもウィリアムも黙って窓の外を見つめている。

リヒトも疲れているのか、ぼーっと窓枠に座っている。


すると突然、がこんという音と共に列車が止まった。
リヒトが前方に転がり、エリーは不思議そうに列車内を見回す。

鐘の音が列車内に鳴り響き、列車の不具合を知らせる声が聞こえた。

「不具合ですか」

「……そうみたいだな」

ウィリアムが眉間にしわを寄せて頭をおさえる。

火炎の陣に間に合うようにウィリアムは小説を書いていたようで、疲れも限界なのだろう。
エリーは申し訳なさそうに眉を下げた。