玄関へ行くと、そこにはエリー同様浴衣を着たウィリアムとダニエルの姿があった。
「お、お待たせしました」
慌てて駆け寄る。
そんなエリーを見てダニエルがにっこりと笑った。
「急がなくても大丈夫だよ」
「はい……」
「浴衣、可愛いね。よく似合ってる」
「あ、ありがとうございます」
ダニエルの言葉に顔が熱くなる。
ストレートに褒められると、どうしても照れてしまうのだ。
「ウィルも何か言うことないの?」
アンナが煽るようににやりと笑いながらウィリアムを見つめる。
ウィリアムはエリーを一瞥した。
「あぁ……いいんじゃないか」
そう言ってさっさと宿を出ようとする。
「相変わらず愛想のない男ね」
しかしエリーはその愛想のない言葉だけで、十分心が満たされた。
ウィリアムにしては、かなり褒めてくれた方なのではないだろうか。