見慣れない景色が過ぎていく。

ウィリアムのところで暮らすようになってから、列車に乗るのは初めてなのだ。
エリーは興味津々に外をじっと見る。リヒトとシンクロしているかのように表情が同じだ。

「エリー、ヴィルベルを出るのは初めてだもんね」

「火炎の陣以外にも祭りはあるし、これからはきっと見飽きるほどこの景色を見ることになるよ」

アンナとダニエルがエリーに言う。
ウィリアムはいつもの無表情で外を眺めている。

エリーは嬉しそうに頷いて、再び窓の外へ顔を向けた。