「大丈夫なのか」
「ご無理はなさらない方がいいですよ」
ティーナもまた、心底心配そうな表情でエリーを見つめている。
そんな二人に、エリーは笑いかけた。
「大丈夫です。記憶も戻っているので、体調を崩すことはないと思うんです。……それに」
エリーは首に掛けた指輪をぎゅっと握る。
「両親とロイの見た最期の景色を、もう一度、見てみたいんです」
切なそうに言うエリーに、ウィリアムは「わかった」と頷いた。
ティーナはまだ心配そうな顔だが、仕方なさそうに頷いた。
港に到着し、エリーとウィリアムは船を待つ。
潮の香りがふわりと漂う。
事故の時のことを思い出し、エリーはぎゅっと首元の指輪を握りしめる。
船がやってくると、エリーはその景色に驚いた顔をした。
皆が、船に乗っているのだ。
「エリー!」
「迎えに来たぞー」
アンナとシェルが身を乗り出しながら叫ぶ。
船が泊まり、ぞろぞろと港に下りてくる。
エリーはぽかんとそれを見ている。
ウィリアムはどこか呆れたような顔だ。