宿に着くと、そこには見覚えのある顔がいた。
リートとシャール、そしてカイだ。
「こんにちは」
「こんにちは」
カイの挨拶に、エリーも元気よく返す。
「もしかして、こちらの宿もカイさんが……」
「違う違う。俺がやってるのは大地の都だけ。今日は客だよ」
「皆さんと一緒に泊まらせていただくんですよ」
「よろしく」
「よろしくお願いします」
カイに続いて、シャールとリートも言葉を繋げる。
エリーは嬉しそうに笑った。
「貴様、泉には行ったか」
「泉、ですか?」
「ああ。街の西側に大きな泉の公園があるんだ」
「そうなんですか」
「行ってみるといい。飯の時間にはまだ早いだろう」
「そうですね」
そう言って目をキラキラさせるエリー。
その大きな泉の公園を見てみたいのだろう。
「行くか?」
シェルの言葉に大きく頷く。
リヒトも同様に何度も頷いている。
その泉にも妖精がいるのだろうか。
「……俺は宿にいる。楽しんでこい」
「あ……はい」
ウィリアムは荷物と共に宿へ入っていく。
エリーは少し寂しげな顔でそれを見送った。
サラもどうやら宿に残るようだ。
シェルもまた寂しそうな顔をする。
「……じゃあ、行こう」
「はい」